相続手続の前提として相続財産をもれなく調査し,リストを作って相続財産の全体を把握することが重要です。
≫相続財産の種類
相続財産には,現金や預貯金などのプラスの相続財産と借入金や医療費の未払金などといったマイナスの相続財産があります。
≫相続財産の調査方法
相続財産には,被相続人の遺品など,見てわかるものだけでなく,通帳や権利証のように書類から確認するものや,関係者,関係機関への調査が必要なものもあります。時間がかかる場合もありますので,調査は早めに着手しましょう。
●預貯金等
預貯金などについては,被相続人の通帳があれば,記帳して確認しましょう。
通帳がない場合でも,取引銀行がわかれば,その金融機関に連絡し,残高証明書を発行してもらうなどすれば取引内容が確認できます。
●不動産関係
所有不動産については,権利証・登記簿謄本・売買契約書・固定資産税納税通知書などが保管されていないか探します。これらの書面から不動産の地番や家屋番号がわかったら,法務局で現在の不動産の登記事項証明書を取得し,不動産の権利関係を確認しましょう。
●有価証券
有価証券については,証券会社等から送られてくる取引明細書,信託銀行等から送られてくる配当通知書等をもとに確認します。
取引のあった証券会社がわかったら,今度はその証券会社に問い合わせて,残高証明書を発行してもらうなどして保有株式の内容を確認しましょう。
●負債その他
住宅ローンや車のローンは,借入先の金融機関に残高証明書を発行してもらうなどして確認しましょう。
その他の負債についても,借用書や請求書,裁判所から届いた書類などがないかを探し,そこから判明した借入先に連絡して,現在の残高を確認しましょう。
≫調査に必要な書類
金融機関などに問い合わせる場合,次の書類の提出を求められることが多くなっています。必要書類は事前に確認しましょう。
・被相続人が除籍されている戸籍謄本又は除籍謄本
・問い合わせ者(相続人)と被相続人との関係を示す戸籍謄本
≫財産リストの作成
調査によって分かった財産を全て財産リストに記録し,被相続人の死後,早い時期に遺産の全体像を把握することはとても大切です。
財産リストは,遺産分割協議や相続税申告の際の重要な資料となりますし,相続放棄や限定承認をするかどうかの判断資料にもなります。
詳しくは、相続の手続をわかりやすく解説した本
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